成城大学民俗学研究所研究例会(97.12.4)
キリスト教信徒における死者儀礼の問題-教会墓地を中心に
0.報告の前に
(1)報告者のこれまでの研究
修論(大田区の教会)→東北地方の教会での現地調査、ライフヒストリーなど方法論
(2)本報告の照準
・先祖祭祀が大きな障害、家の宗教となると安定:先行研究による結論
・墓地(教会墓地)を分析対象に据えたキリスト教受容の再検討
←誰かに継承される宗教施設、信仰アイデンティティ
・日本基督教団東北教区信夫教会
1.教会墓地調査
(1)質問紙調査
[問1]あなたの教会では現在、教会墓地を →
保持しておられますか(選択肢)
[問5]教会墓地はどこに設けておられますか
(選択肢) →
[問7]すでにどのくらい使用されていますか
(選択肢)
[問4]墓地はいつ建てましたか
(完成日と献墓式をそれぞれ自由回答)
[保持意識](教会墓地を)必要と思われる理由につ
いて、自由にお書きください
(2)現地調査を踏まえて
*教会墓地の種類<埋蔵形態・保持形態・場所別>
[埋蔵形態] @分譲式 A共同埋蔵式(埋蔵式)
B棚式 Cロッカー式 (納骨堂式)
[保持形態] a単独保持 b複数保持
[場所] x寺院 y共葬墓地 z造成地
(事例) <@bz>奥羽教区T地区の5つの教会
<Aby>奥羽教区A地区のO教会
<Baz>奥羽教区N地区のO教会
<Cbz>東北教区のS教会
*他の家族員との関係
→教会が独自の墓地を持つことには賛成。ただちに利用されるわけではない。
墓地を「自らの信仰の証」より「各家族で保持・継承する施設」と認識
墓地の形態の問題
→無宗教・無宗派の霊園の区画を保持へ
2.信夫(シノブ)教会の事例
(1)背景
[歴史]
1895 創立 (日本美以教会(メソジスト)→日本基督教団)
1936 教会堂建設
1948 幼稚園開設
1957 小林喜成牧師赴任 (97年引退)
1960 会堂内外の改修
1995 創立百周年
[その他の状況]
・人口10万人当たりのキリスト教系宗教団体数(全国平均は7.5)
福島県7.1 cf 青森県6.5、岩手県6.5、宮城県8.1、秋田県6.8、山形県7.8
・福島市のキリスト教会数は31(人口比0.11‰)
cf いわき市(0.08、)郡山市(0.06)、会津若松市(0.06)
(2)墓地建設と牧師の指導
*墓地
1958 市営渡利墓地内に、第1区86・87・88号(10坪3区画)確保
←カトリック教会が近くに保持しいてた
1960 納骨堂完成→一時利用多し
1992 墓柱、墓誌(納骨石碑)、メール・ボックス完成
→記帳ノートについては後述
1996 初の埋蔵
・葬儀
・木製の十字架←位牌代替物?
・礼拝や記念会
(3)信徒たちの言動
(事例)
A 教会墓地:非信徒の夫、七○歳、女、初代、自営業
B 教会墓地:信徒の父、六二歳、女、二代、主婦
C 市営霊園:信徒の妻、六九歳、男、初代、退職
・記帳ノート
(92年から95年までの4年間の月別件数)
1月14、2月9、3月46、4月12、5月12、6月10、
7月38、8月61、9月46、10月29、11月15、12月11、合計303件
→春秋の彼岸・盆などが多い
3.小括
@信徒は墓地に対して、キリスト教会の全体的な問題と意識した場合は、キリスト教信仰の証という観点から教会が保持することに賛成するが、実際に個別の問題と意識した場合は、それぞれの家族で保持・継承すべき施設という規範が優先する。そこで、教会が墓地を保持することの意義は認めるものの、実際には自ら墓地を用意できない者のため存在すると認識される。
Aキリスト教信仰は必ずしも継承されないし、それは個人的信仰を重視する教派では強制されるものでもない。従って、各家族で墓地を新たに保持する場合は、無宗教・無宗派を標榜する霊園の区画を保持することが望ましいと考えている信徒もいる。
B教会墓地の形態も重要である。共同埋蔵式では、遺灰が個別化されず心理的違和感が生じて利用されないこともある。納骨堂は一時的な保管という利用と認識されている。
*教会墓地というハード面の準備が整う
→キリスト教信仰に基づく死者儀礼のあり方を、キリスト教信徒がいかに実践するかと いうソフトの問題へ
4.今後の課題
他地域・他教派への調査続行
《参考文献》
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1960『日本における福音と諸宗教との接触』日本基督教団宣教研究所。
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1986「東北農村におけるキリスト教の受容」
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1959『地方小都市におけるキリスト教会の形成』日本基督教団宣教研究所。
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