《 2000年・社会学前期 》 「家族と調査の社会学」
全12回のスケジュール&レジュメ
1回 本講義の説明
(内容・スケジュール・文献リスト)
2回 社会学とは何か (その1)
−社会学全体の説明・複眼思考のすすめ
3回 社会学とは何か (その2)
−社会学的視座
4回 家族の社会学 (その1)
−家族とは何か
5回 家族の社会学 (その2)
−ジェンダーとセックス
6回 家族の社会学 (その3)
−家族の役割、性の多様性
7回 家族の社会学 (その4)
−結婚と現代家族
8回 家族の社会学 (その5)
−離婚、男性学
9回 調査の社会学 (その1)
−社会調査の初歩
10回 調査の社会学 (その2)
−さまざまな量的調査
11回 調査の社会学 (その3)
−さまざまな質的調査
12回 調査の社会学 (その4)
−うわさの社会心理
社会学前期・第1回
この講義の説明
1.内容紹介
2.成績評価
3.自己紹介
4.文献・テキスト
5.その他の注意事項
6.社会と社会学
社会学は政治学・経済学などと同じで、社会科学の一つ(←→自然科学)
“society”の訳語たる「社会」 → 平たく言えば「人間と人間の関係」
→現代社会に起こる現象すべてについて知的好奇心をもって探求する学問
【テキスト】
石川実編『現代家族の社会学』有斐閣ブックス、1997年、2000円
【参考書】
大谷信介他『調査へのアプローチ』ミネルヴァ書房、1999年、2500円
中島義明編『メディアにまなぶ心理学』有斐閣ブックス、1996年、2300円
【リアクションペーパー(RP)】
毎回、講義の最初にB6版のミニレポート用紙を配布。講義中、数回質問したり、講義最後に課題を出す。それへの応答を書くための用紙。講義終了後、提出。
【レポート】
「現代都市を写真で語る」(第3回で詳細を述べる)
【RP課題】
「ある父と息子が事故に遭い、父は即死、息子は救急病院に運ばれた。病院で手術をしようとした外科医が、その子供をみて驚いた表情でこう言った。「私は手術できません。実はこの子は私の息子なのです」。さて、この外科医と子供との間にはどんな関係があるでしょう。」
社会学前期・第2回
社会学とは何か (その1)
−社会学全体の説明・複眼思考のすすめ−
1.『知的複眼思考法』について
前回の出題:ある父と息子が事故に遭い、父は即死、息子は救急病院に運ばれた。病院で手術をしようとした外科医が、その子供をみて驚いた表情でこう言った。「私は手術できません。実はこの子は私の息子なのです」。さて、この外科医と子供との間にはどんな関係があるでしょう。
(1)【ステレオタイプ stereo type】
「アカ」の例。マリーアントワネット、九州男児、国民性、鮎の死骸
「特定の対象に関し、当該社会集団で広く受容されている単純化・固定化された観念」
(2)苅谷剛彦の授業
(3)@複眼思考とはありきたりの常識や紋切り型の考え方にとらわれずに、物事を考えていく方法
A常識にとらわれないために、ステレオタイプから抜け出し、それを相対化する視点を持つ
B知識も大切だが、正解がどこにあるという発想からは複眼思考は生まれない
2.複眼思考へ向けての訓練
読書 = 「なぜ?」という問題意識
書くこと = 最低限の推敲・修正
日米比較:文献の「分析」ではなく、読後感という「感想」を求めるもの、既成の書物の継ぎ接
ぎのようなレポートが提出され、それが黙認されている。
3.社会学の基礎的用語
【概念 concept】
リンゴ・アブラゼミの例
事実(fact)は概念(concept)によって経験的世界(empirical
world)から切り取られた現実の一部
=我々は、暗闇(経験的世界)にサーチライト(概念)を照らし、そこに見えるもの(事実)を理解する
【参考文献】苅谷剛彦『知的複眼思考法』講談社、1996年、1456円
高根正昭『創造の方法学』講談社現代新書553、1979年、583円
【RP】「囚人のジレンマ」
AB二人の囚人がいる。彼らは銀行強盗共犯の容疑がかけられている。証拠不十分なまま、別件の銃刀法違反容疑で逮捕され、本件の銀行強盗の取り調べを受けている。刑事がAB別々に取調室によんできてこう言った。「銃刀法違反は懲役3年だ。だが、もし銀行強盗事件について自白すれば、捜査に協力したということで、お前は無罪放免にしてやってもいい。そのかわりお前の相棒は懲役9年だ。といことは、お前が事件について否認を続けても、お前の相棒が自白すれば、お前は9年ぶちこまれることになるぞ」囚人が聞く。「それで、両方とも自白したらどうなるんですか?」刑事はこう答えた。「その場合には、お前たちは二人とも6年の刑になる」さて、この場合、ABはどうするだろうか。
社会学前期・第3回
社会学とは何か (その2)−社会学的視座−
1.集合的写真観察法とは何か
(1)後藤ゼミ
後藤範章(日大助教授)による「写真で語る:東京の社会学」という課題の結果
[内容]東京人(都会人・現代人)を象徴的に表すと考えられる場面を写真におさめ、適切なテーマを掲げ、社会学的な言説で300字から400字程度で解説を加える
後藤は9月中旬にゼミ合宿を行ない、その多数の作品の中から30点ほどを厳選
→11月の学園際(桜麗祭)で展示 (今年は回顧展:7年目)
「東京人」観察学会のホームページも参照
→上記の団体では写真を募集中です。
(2)事例(上記1999年版より)
@聖橋と神田川と鉄道と−学生街のスクランブル
A第四の生活空間−遠距離通勤者の電車生活
B魔法のレジャーシート−東京ディズニーランドの上野公園化
C流浪の民−管理下におかれたホームレス
Dビッグモンスター−目立つけど、目立たない
E東京レッズvs東京アントラーズ−Jリーグに見る『超地位性』
(3) 《この講義の課題》 → 「現代都市を写真で語る」
一枚の写真を撮り、それに社会学的言説を加え、現代都市の諸相を描き出すこと
B5の上半分に題目・写真貼付、下半分に300字程度の解説と撮影日時
表紙をつけ、そこに学籍番号や学科名、氏名を記し、2作品をとめて提出
2.囚人のジレンマ
(1)社会的ジレンマ
相\自 黙 自
黙 3\3 9\0 → 自白した方が少ない
自 0\9 6\6 → 同上
本当は両方黙秘が一番よい
(2)共有地の悲劇
10人の牛飼が各々100万円の牛を10頭ずつ共有の牧草地で飼う
→牧草地は100頭まで飼えるがそれ以上だと牧草量が不足
→1人が1頭だけ増やす。101頭になると痩せるので1頭につき1万円の価値減
→増やした牛飼は99×11=1089万円、全体では99×101=9999万円でほとんど損失無
→だが・・・。
3.社会学の基礎的用語
【順(逆)機能と顕在(潜在)機能】
ホピ族の雨乞い儀式→雨を降らせる(顕在機能)より、部族の連帯性(潜在機能)
官僚制=能率はよい(順機能)が、儀礼主義的(逆機能)な問題もある
【社会化 socialization】
個人がさまざまな他者との相互的なやりとりを通して社会的アイデンティティや役割を形成し、社会的な存在となる過程
4.社会学の立場
総合社会学、形式社会学、
専門社会学(家族・都市・教育・宗教など)
5.社会学の視点
【ミクロアプローチ】個人の態度や行為、人間関係などの部分から社会という全体を説明する。微視的アプローチ。交換理論・エスノメソドロジーなど
【マクロアプローチ】社会や集団全体と関連づけて物事を解釈する立場に立ち、行為や態度などを社会という全体から説明。巨視的アプローチ。構造主義・マルクス主義など
*「個人と社会」の両方の問題を、一方では個人の視点から、他方では社会の視点から、社会の仕組みやその働きをみていこうとするものが、社会学的視点
【参考文献】
小林淳一・木村邦康編『考える社会学』ミネルヴァ書房、1991年
友枝敏雄他『社会学のエッセンス』有斐閣アルマ、1996年、1751円。
《写真観察法について》
後藤範章「マルチメソッドとダイレクト・オブザベーション」『日本都市社会学会年報』14号、1996年
後藤範章編「<まなざし>に込められた社会的意味の解読」『学叢』第59号、1997年
「読売新聞」1999年1月29日付朝刊・生活面の記事
「写真が語る『現代の風景』−生活の変化映し出す」
大谷信介他編著『社会調査へのアプローチ』ミネルヴァ書房、1999年
後藤範章「集合的写真観察法」『社会学論叢』、2000年
「研究室訪問/この人に聞く−後藤範章先生」『学叢』第65号、2000年
社会学前期・第4回
家族の社会学 (その1) −家族とは何か−
1.家族とは何か?
(1)家族の定義−−血縁の問題
メラネシア(トロブリアンド島・ヤップ島)、アフリカ・スーダン(牧畜民ヌアー族)
南西インド(ナヤール社会=母系集団)
(2)集団としての家族
マレー人は「ネットワーク」としての家族
モーガン『古代家族』(1877)による、婚姻と家族の進化の5段階図式
近親相姦(insest taboo) ←女性の交換の原理
マードック(1949)の分類
a 核(nuclear)家族
b 拡大(extended)家族
c 複婚(polygamous)家族
(3)機能としての家族
a 定位家族(family of orientation)
b 生殖家族(family of procreation)
パーソンズ:本来の機能として @子供の社会化 A成人のパーソナリティの安定
バージェスとロック:「制度から友愛へ」(from
institution to companionship)
(4)家族制度の類型化
a 夫婦家族制(conjugal family system)
b 直系家族制(stem family system)
c 複合家族制(joint family system)
(5)日本の家族の歴史
イエ制度とは何か?
→男系による家名の超世代的な存続と発展を重要視する社会制度
(6)現代家族のイメージ
2.社会学の基礎用語
【同調 conformity】
アッシュの実験
@8人1組(うち7人は実験協力者)で実験。被験者は常に7番目に答え、協力者はわざと間違 えて、被験者に集団圧力をかけていた。被験者50人の動向はどうか。
A実験協力者は1〜16人のうち、少なくとも何人いれば、同じ程度の結果が得られるか。
B8人の集団のうち1人味方をつけると、どうなるか。
【準拠集団 reference group】
個人が比較・同調する拠り所。有意義な他者(集団・階層・世代・特定の個人)
←準拠枠(frame of reference):同じ準拠集団において共有
【参考文献】
伊藤公雄他編『ジェンダーで学ぶ社会学』世界思想社、1998年、1800円
望月嵩『家族社会学入門』培風館、1996年
中川淳編『家族論を学ぶ人のために』世界思想社、1999年
山根常男『家族と結婚』家政教育社、1990年
社会学前期・第5回
家族の社会学 (その2) −ジェンダーとセックス−
1.社会学の基礎用語
【性(Sex,セックス)と性差(Gender,ジェンダー)】
性(セックス):生物学的な基準に基づく男女の区別
遺伝子内の性染色体の組み合わせの違い(男:XY、女:XX)
性差(ジェンダー):文化的社会的に形成される男女の区別
社会的文化的に制度化された規範的<まなざし>に映る男女
「人は女(男)に生まれるのではなく、人は生まれ、女(男)になる」
2.主婦の誕生
(1)「主婦」の歴史的背景
産業革命以降、男は外・女は内
→家事労働(domestic work)=主婦の仕事
男/女=生産/再生産=公的/私的=賃金労働/不払い労働
(2)現代「主婦」の実態
家事労働の男女差
専業主婦の税制優遇措置←社会へ出にくい
(3)出生率低下と女性
「1.57ショック」は本当にショックか?
戦後の出生率変化
@45-60年(避妊と中絶による少子化)
→A60-75年(夫婦と子供二人モデルの安定期)
→B75-現在(晩婚化による少子化)
「集団中心から個人中心へ」「子産み規範の緩み」「産育コストの増大」が問題
3.女性の就労に関する問題
(1)フルタイム
男女雇用機会均等法、改正雇均法
就職活動での、企業案内・企業業説明会・DM
(2)パートタイム
(3)M字型雇用 子育て後にパートタイムで再就職する女性たち
4.学校生活その他の問題
(1)問題点
名簿の順番・委員長・家庭科
(2)解決法?
意図的・非意図的を問わず、男性の観点が中心となっていることの問い直し
5.別姓?同姓?
(1)結婚の法律
夫婦同氏・親子同氏制度。法律婚主義→殆どが男性側の姓の新戸籍
「結婚すれば女性は男性の姓を名乗る」のは歴史的には新しいこと
←670年の庚午年籍には妻が別姓、明治民法以前は別姓。
(2)問題の焦点 同姓反対・賛成
(3)諸外国との比較
韓・中国は別姓、仏英米豪西は妻が夫の姓を名乗ることが多いが別姓も選べる
東欧諸国でも同姓・別姓の選択制
【参考文献】
福島瑞穂『結婚と家族』岩波新書207、1992年
宗方比左子他編著『女性が学ぶ社会心理学』福村出帆、1996年
高橋菊江他『夫婦別姓への招待』有斐閣選書、1993年
瀬地山角「主婦する・しないの選択」苅谷編著『比較・社会入門』有斐閣選書、1997年、1500円
社会学前期・第6回
家族の社会学 (その3) −家族の役割、性の多様性−
1.RPにみる「男らしさ・女らしさ」
行動・言葉遣い、キョウダイの差異、学校生活、生活や嗜好、服装
「らしさ」:財団法人横浜市女性協会が93年に実施した調査結果
ドーピングから考える男女:競技スポーツの世界での男女分け
2.マスメディアにみるジェンダー・バイアス
新聞・テレビなど:元OL、79歳女スリ逮捕、女子アナ
少女小説・少年漫画
3.社会学の基礎用語
(1)地位と役割
【地位 status】
特定の社会的場面の中で、社会成員が他者との相対的関係において占める位置
【役割 role】
地位に付随した、集団や社会によって期待され、行為者によって取得される行動様式
(2)家族内の役割
同姓・別姓:自由選択・夫不変、妻選択・別姓・同姓
「女性・日本国民・東京都民・杉並区民・××社会社員・長女(定位家族)・妻/母(生殖家族)」 などの地位を持つ人がどのように役割を果たすか?
夫・妻として ←→ 父・母として cf)
手段的・道具的な役割、表出的な役割
役割葛藤(role conflict)
4.性の多様性
生物学的性別・性的自認・性的志向 という3つから考える視点
(1)ジェンダー・アイデンティティ
1998/10/16、日本国内初の「性同一性障害」の患者の手術
診断のガイドライン→精神療法、ホルモン療法、手術療法→戸籍の性別は認められず
トランスヴェスタイト(TV):服装倒錯者・異性装嗜好者
トランスジェンダー(TG):社会的にも異性として扱われたい・異性の役割を果たしたい
トランスセクシュアル(TS):完全な異性の身体を望む場合
(2)同性愛
法的にも文化的にも排除
(3)半陰陽
性ホルモン・性染色体の変異、生後すぐに手術という問題
5.家族の機能
(1)日本の家族の変化
(2)家族の機能
オグバーン(Ogburn,W.F.):機能縮小論
経済・地位付与・教育・保護・宗教・娯楽・愛情 → 愛情だけ
→現代の介護・教育関連の問題は家族へ
【参考文献】
グループREN『よその家の夫たち』ユック舎、1997年、1800円
橋本秀雄『男でも女でもない性−インターセックス<半陰陽>を生きる』青弓社、1998年、1600円
北尾トロ『彼女たちの愛し方』(ザマサダ、1997年、1400円
吉永みち子『性同一性障害−性転換の朝』集英社新書、2000年、680円
社会学前期・第7回
家族の社会学 (その4) −結婚と現代家族−
1.結婚とは何か?
【結婚・婚姻 marriage】
社会的に承認された性的結合・公に披露することをもって始まる・持続的であるという観念を持つ・結婚契約に基づく、という4つの属性が一般的
←近代以降は「愛情」を重要視
※さまざまな婚姻
@形態:単婚(monogamy、一夫一妻婚)・複婚(polygamy、一夫多妻婚,一妻多夫婚)
A範囲:同類婚(homogamy)・異類婚(heterogamy)、内婚原理・外婚原理
B居住:夫方居住・妻方居住・新居住
2.恋愛結婚について
(1)恋愛結婚とは何か
(2)恋愛結婚の歴史 @日本 A西欧
(3)結婚戦略
@自己実現としての結婚
A誰と結婚したいのか?
3.社会学の基礎用語
【ライフサイクル(life cycle)】
ある世代が次の世代へ交替するまでの規則的変化過程
「総領の十五のは貧乏の峠、末子の十五は栄華の峠」
夫婦家族の8段階
a)結婚〜第一子出生:新婚期 b)第一子出生〜末子出生:出産期
c)末子出生〜末子小学校入学:育児期 d)末子小学校入学〜末子教育終了:教育期
e)末子教育終了〜独立:排出期 f)末子独立〜夫の引退:向老期
g)夫の引退〜夫の死:老年期 h)夫の死〜妻の死:寡婦期
【ライフコース(life course)】
年齢によって区分された生涯期間にわたる各種の経歴の束としての人生軌跡
cf)大恐慌の子供たち、勝沼直系家族調査
4.夫婦関係の非制度化
近代家族の夫婦規範:恋愛結婚+「結婚−愛−性」の一体化
→法律、性、愛による8区分へ
5.DV(ドメスティック・バイオレンス)について
(1)サイクル:緊張が高まる→暴力が行われる→愛情満ちあふれる
(2)神話:「被虐待者はいつでも家から離れられる」 ←経済的自立?
「虐待者(バタラー)は社会的に失敗者である」「虐待者は他の面でも暴力的」
(3)子供への影響:(a)直接的被害 (b)殴る現場を目撃したことの影響
(c)暴力の世代連鎖
(4)アメリカの取り組み
(5)日本では・・・
【参照文献】
張江洋直/井出裕久/佐野正彦編著『ソシオロジカルクエスト』白菁社、2400円、1997年
日本DV防止・情報センター編『ドメスティック・バイオレンスへの視点』朱鷺書房、1600円、1999年
大久保孝治/嶋崎尚子『ライフコース論』日本放送出版協会、1699円、1995年
社会学前期・第8回
家族の社会学 (その5) −離婚、男性学−
1.離婚(divorce)とは何か
婚姻契約の解消と夫婦関係の終了ならびに再婚の権利を承認する制度的手続き
日本では夫婦関係の法的解消
結婚非解消主義(倫理・道徳)→有責主義(不貞・悪意で遺棄・生死不明など)
→救済主義(継続し難い重大な事由)→破綻主義(個人の自由意志)
(1)日本の「離婚史」
江戸時代:武士階級 hypogamyと追いだし離婚
庶民 三くだり半(夫の専権?妻の再婚許可?)
(2)離婚のさまざまなデータ
普通離婚率の変 1900年0.146%→1963年0.073%→1995年0.160%
協議離婚・調停離婚・審判離婚・裁判離婚
離婚理由:性格の不一致が5割
5年未満離婚の減少、20年以上の離婚の増加
(3)離婚の問題点
妻の就職・慰謝料
2.男性学のすすめ
(1)男性学とは何か?
この男性社会を男性の目で読み直すための学問
by伊藤
(2)男らしさの系譜
男らしさに苦しむ男性たち
映画にあらわれる男らしさ
3.社会学の基礎用語
【個人 individual】 peroson≠individual=in
+ divide (分割できない)
自らの意思に基づいて判断し、行動し、その結果について自ら責任をとる。
個人と個人の集合体→社会(society)
【アイデンティティ identity】
青年期の葛藤を通じて確立される自己。自我同一性 ←エリクソン
【剥奪理論】 個人あるいは集団が、他の個人や集団あるいは自分の要求する水準と比較して、不利な境遇にある、損なわれていると感じることを剥奪といい、その剥奪感が人々を宗教へ向かわせるということ
[貧=貧困(経済)、病=病気(肉体・精神)、争=家族の争い(社会関係)]
補論:アダルトチルドレン(AC)について
1.ACとは?
2.回復のために
【参考文献】
井上輝子『女性学とその周辺』勁草書房、1980年
伊藤公雄『男らしさのゆくえ』新曜社、1993年
伊藤公雄『男性学入門』作品社、1996年、1456円
『トラウマとアダルト・チルドレン』(現代のエスプリ358)至文堂、1997年、1190円
村松泰子・ヒラリア・ゴスマン編『メディアがつくるジェンダー』新曜社、1998年
社会学前期・第9回
調査の社会学 (その1) −社会調査の初歩−
1.社会学の基礎用語
【第一次集団 primary group と 第二次集団
secondary group】
米社会学者クーリーの分類。成員相互の接触の仕方が直接的か間接的か。
前者は家族、子供の遊び仲間、近隣など。後者は国家や政党など、成員の接触は間接的
【アソシエーションasociation と コミュニティcommunity】
米社会学者マッキーヴァーの分類。会社やクラブなどは前者、家族や村落などは後者
2.社会調査を勉強するということ
(!)日常生活での社会調査
調査鵜呑み人間や調査無知無用人間にならないために・・・
(2)社会調査って何?
※社会的な問題意識に基づいて、データを収集し、収集したデータを使って社会について考 え、その結果を公表する一連の過程
調査の流れ 《問題決定→仮説構成→調査の計画と準備→尺度の作成→
データ収集→データ分析→一般化→(新たな問題決定)→》
3.調査の種類
(1)観察・実験・調査
(2)さまざまな事例
a:品物の重さを5回測定 b:部品製造工場の欠陥品調査
c:ビール工場
d:神社の参拝者数 e:観光地の客数
理論的に適切な規模で調査しよう
4.社会調査の歴史
(1)社会調査のルーツ 人口調査
(2)近代的社会調査 英チャールズ・ブース(Booth,C)の「貧困調査」
(3)社会調査の発展
大戦後、量的調査の全盛期
代表的調査 統計数理研究所 1953年〜(5年毎) 「日本人の国民性」調査
社会学者中心 1955年〜(10年毎)「社会階層と社会移動全国調査
5.若干の注意点
一つの説明に過ぎないものを、あたかもデータの指し示す事実のごとく記述しない
*誤った分析 *調査の規模や質問の仕方
【問】以下の調査報告には問題点がある。どこか。
「未成年犯罪の9割は中流家庭の子供なので、中流家庭が少年犯罪の発生基盤となる」。
「男女を比べると、女より男の方がRV車を買いたい者が多い」
【参考文献】
飽戸弘『社会調査ハンドブック』日本経済新聞社、1845円、1987年。
林知己夫『調査の科学』講談社ブルーバックス、520円、1984年。
平松貞実『世論調査で社会が読めるか』新曜社、1998年、2200円
石川淳志/佐藤健二/山田一成『見えないものを見る力』八千代出版、1998年、2800円
岩永雅也/大塚雄作/高橋一男『社会調査の基礎』日本放送出版協会、1996年、2097円
社会学前期・第10回
調査の社会学 (その2) −さまざまな量的調査−
1.社会学の基礎用語
【母集団(population)】 調査対象となる成員の集合。日本国民
【標本抽出(sampling)】母集団から調査の対象者を選び出すこと。
【標本(sample)】母集団の一部を選んで実際に調査をする対象。
【バイアス(bias)】偏り。質問文の用語や質問の仕方、回答方法など気を付ける
2.さまざまな社会調査
(1)調査票配票による区分
@面接法(聞取) A配票法(留置) B集合法 C郵送法 D電話法
(2)目的別分類
@国勢調査 全国民が回答する調査(全数調査)
A世論調査 選挙予測・時事問題・社会生活意識・行政施策 例)内閣支持率調査
B市場調査 販売計画や製品計画、購入使用実態などの調査
3.サンプリングという考え方
(1)標本調査の基礎
(2)サンプリングの歴史
ダイジェスト社の大規模模擬投票→ギャラップ社の割当法→無作為抽出法
(3)サンプリングの原理
無作為抽出法の考え方
4.社会調査の問題点
(1)プライバシー
(2)現実を見誤る 事後解釈
(3)信頼性 答える人々の問題 「悪意のある嘘・悪意のない嘘」
(4)偏り
5.標本誤差について−−視聴率から
(1)標本誤差とはなにか
F=推定誤差、K=信頼度計数、N=母集団の規模、n=標本数、p=母集団比率。
F=K√N-n/n-1×√p(1-p)/n
(2)視聴率
a)調査の方法 機械式(世帯or個人)と日記式(個人)
b)視聴率の意味
【RP】それぞれ考えなさい。
《問1》視聴率30%とはどんな意味だろうか。
《問2》視聴率30%と25%の番組は、前者が後者より多くの世帯で見たと言えるか。
《問3》300標本から600標本に増やすとどのくらい精度が増すか。
1400万世帯の母集団に対して600標本は少なくないか。
c)視聴率の意味
【参照文献】
井上文夫他『よりより社会調査をめざして』創元社、1995年、1942円
岡田至雄「世論調査の信頼性」『関西大学社会学部紀要』28(2)
、1996年
大谷信介他『社会調査へのアプローチ−論理と方法』ミネルヴァ書房、2500円、1999年
鈴木義一郎『1を調べて10を知る科学』講談社ブルーバックス、718円、1992年
山本勝美『国勢調査を調査する』岩波ブックレット380
、388 円、1995年
社会学前期・第11回
調査の社会学 (その3) −さまざまな質的調査−
※さまざまな質的調査
(1)参与観察法
調査者が長期間、対象地域でその成員として現実の社会生活を営みつつ、現場で起こる出来 事をメンバーと同じような立場で観察し、多角的に把握する方法。
[メリット]@対象者の意識 A感情、考え、価値観などが詳細に観察可能
B周辺の出来事の意味を社会文脈的に即した把握
[デメリット]@再現不可 A調査者が一定の地位や役割を得ることに生じるバイアス
(2)ライフヒストリー
ライフヒストリー(life history)≒生活史(生活の歴史/個人の歴史)
=口述生活史(個人の生涯を社会的文脈において詳細に記述したもの)
・1920年代の米/シカゴ大→戦後、量的調査が隆盛→70年代以降、現象学派との連関で流行
[特徴]
異文化理解及び仮説索出・類型構成において非常に有効
@対象者はたった一人でもいい A「語り」は構成されるもの
[問題点]
@対象者=マイノリティやマージナルな集団、語れる人
A)資料の信頼性・妥当性
B公表と調査地被害=対象者と調査者の信頼関係
[実践例] 中野卓『口述の生活史』・民俗学・人類学
(3)エスノメソドロジー (ethnomethodology)
人々が日常的行為のなかで常識的な合理的知識を獲得し使用する方法を詳細に記述・研究
@違背実験 A電話の実験 B男女学生の会話分析
C医学校にせ面接実験
面接試験の録音→不合格と推測する実験者→合格したと聞かされる→辻褄合わせ
【RP】次の問題を考える際、どのような方法を用い、どのように調査しますか?
a)現代日本企業のあり方を探る (リストラされた人々・人事課長など)
b)原発のあり方を考える (原発付近の居住者・勤務者・反対運動者など)
c)異文化交流について考える (外国人労働者の配偶者・帰国生)
【参考文献】
北澤毅/古賀正義『<社会>を読み解く技法-質的調査法への招待』福村出版、1997年、2600円。
箕浦康子『フィールドワークの技法と実際』ミネルヴァ書房、1999年、2300円。
A・クロン(山田/水川訳)『入門エスノメソドロジー』せりか書房、1996年、2300円。
好井裕明編『エスノメソドロジーの現実』世界思想社、1992年、1893円。
ガーフィンケル他(山田他訳)『エスノメソドロジー』せりか書房、1987年、2500円。
K・ライター(高山訳)『エスノメソドロジーとは何か』新曜社、1987年、2900円。
福岡安則「技法としての生活史聞き取り(二)」『解放社会学研究』10、1996年。
川又俊則「ライフヒストリー研究の断層-特に方法論に関して」『常民文化』19、1996年。
谷富夫編『ライフ・ヒストリーを学ぶ人のために』世界思想社、1996年、2300円。
鵜飼正樹『大衆演劇への旅』未来社、1994年、4944円。
船津衛『コミュニケーション・入門』有斐閣アルマ、1751円、1996年。
川上康至他著『メディアサイコロジー』富士通ブックス、1996年。
田崎篤郎・船津衛編『社会情報論の展開』北樹出版、1997年。
社会学前期・第12回
調査の社会学 (その4) −うわさの社会心理−
1.さまざまなうわさ
(1)RPより
@芸能人・テレビ関係者 A学校生活 B皇室 C恋愛・幸せ D場所・建物
(2)有名なもの
@徴兵令 A口裂け女 Bサザエさん Cトイレの花子さん
2.うわさの構造
(1)うわさの種類
@ゴシップ :おしゃべりとしてのうわさ
A流言 :社会情報としてのうわさ
B都市伝説 :楽しみとしてのうわさ
(2)うわさを信じさせる理由
@外的状況 :あいまいな状況
A個人の内的状況 :最も大きな要因は「不安」
Bうわさ話そのもの:「多くの人が語っている」
顔見知りや親しい人を選んで伝える
(3)うわさの公式
うわさの強さや流布量は、語り継ぐ人々にとっての「テーマの重要さと曖昧さの積に比例
→人々に共通なものとして「病気」、とくにエイズなどの難病
(4)うわさの否定戦略
@うわさの内容を真っ向から否定する
Aうわさの内容に関係なく、ポジティブな情報を流してうわさに対抗する
B無視する
3.社会学の基礎用語
【デマ・流言】
デマ:情報操作のために流される情報。デマゴギー(demagogy)の略称。
流言:正確さを証明できないのに、人々の間に言い触らされ、信じられていくできごと
【アナウンスメント効果 announcement effect 】
→アンダードッグ効果 (underdog effect):負けそうな候補に同情が集まるようなこと
→バンドワゴン効果 (bandwagon effect):優勢な候補に雪だるま式に支持が集まる現象
【ピグマリオン効果】
伸びる子供は、教師の期待によってつくられた ←ローゼンタールたちの実験
4.予言の自己成就(破壊) self-fulfilling(destroying)
prophecy
(1)定義
(2)銀行倒産 ナショナル銀行、豊川信用金庫、
(3)他の例選挙・受験生・穴場の店など
(4)構造 A → (予言なし) → A
B → (予言) → B′
付論:社会心理学、チェーンメイル
【 参照文献 】
船津衛『コミュニケーション・入門』有斐閣アルマ、1751円、1996年
廣井修『うわさと誤報の社会心理』、NHKブックス512、1988年、750円
川上善郎・佐藤達哉・松田美佐『うわさの謎』日本実業出版社、1997年